ひふみプラス・ひふみ投信の何が良いのか?運用内容、組入銘柄について解説

ひふみプラス、日経平均、トピックス 国内株式投信

*この記事には、広告が含まれます。紹介する商品・サービスには、「PR」を表記しています。

 

この記事は、「ひふみプラス」の商品内容、パフォーマンス、リスクについて解説します。

 

なお、この記事を書いているわたしは、ゴトウと申します。

証券会社で12年間、個人営業や本社の企画など、いろいろとやっていた経験があります。もちろん、投資信託もたくさん販売してきました。

そんな元証券マンの視点から、ひふみプラスについて解説をしていきます。

 

投資をするのは初めて、という方にも、なるべくわかるように心がけますので、よろしくお願いします。

*「ひふみ投信」も、販売会社が違うだけで、組入銘柄は同じ投信です。

 

なお、この記事は、個人の意見や感想でしかありません。引用元はしっかり載せて、根拠のある数字しか出していませんが、投資判断をする際は、自己責任でお願いします。

 

1、ひふみプラスのパフォーマンス

ひふみプラスのパフォーマンス(2012年5月〜2024年3月)を日経平均と比べてみると、日経平均は約3.4倍、TOPIX(東証株価指数)は約2.9倍上がったところ、ひふみプラスは約5.3倍になっていました。

このことから、かなりパフォーマンスが高い投資信託だと評価されていると言えます。

 

ひふみプラス、日経平均、トピックス

(参考:ウェルスアドバイザーYahoo finance US

 

ただし、いつの時点で買っても、日経平均やTOPIXを上回っていたかというと、そうではありません。

1年ごとのパフォーマンスを比較してみると、2017年ごろまでは、日経平均の上昇率よりも3〜4割近く上回る年もありましたが、その後は差が縮まり、2022〜23年は2年連続、1割以上も割り負けていました(基準価格は上がったものの、日経平均よりは上げ幅が小さかった)。

 

ひふみプラスと日経平均のパフォーマンス比較

(参考:ウェルスアドバイザーYahoo finance US

 

では、TOPIXに対してはどうだったかと言うと、やはり2020年ごろまでは好調でしたが、2021年以降の2021〜23年は、パフォーマンスで割り負けていました。

 

ひふみプラスとTOPIXのパフォーマンス比較

(参考:ウェルスアドバイザーYahoo finance US

 

なぜ、2020年以降は、あまり成績が良くないのか?

その理由は、2020年以降の株式市場が、世界的に時価総額の高い銘柄を中心に上がっていたからです。

 

時価総額とは、「株価 × 総株式数」で計算できるもので、「その企業を買収するとしたら、全部でいくらかかるのか?」を表したものです。

時価総額の大きい企業は、それだけ利益や企業規模が大きい傾向にあります。

 

2020年は新型コロナの感染拡大によって、外出禁止令や海外渡航の禁止など、通常の経済活動がかなり制限されたことで、家でも利用できるITサービスに注目が集まり、これらの企業の株価が大きく上昇しました。

 

1番分かりやすいのがアメリカで、アメリカの時価総額の大きいビッグテック企業が、「マグニフィセント7(マイクロソフト、アマゾン、アップル、グーグル、エヌヴィディア、フェイスブック、テスラ)」などと呼ばれ、株価も上昇しました。

 

日本においても、これは例外ではなく、時価総額が大きい銘柄ほど、上昇率が高かったのです。

下のグラフは、コア30(時価総額上位30銘柄)と日経平均と、ひふみプラスの、2020〜24年のパフォーマンス比較です。

時価総額上位だけを集めたコア30が、もっとも高い上昇率となっていますね。

 

ひふみプラスとコア30、日経平均のパフォーマンス比較

(参考:ウェルスアドバイザーYahoo finance US

 

では、ひふみプラスの資産構成はどうなっているのかと言うと、2024年3月の月次運用報告書を見ると、約8割が大型株で、時価総額が3,000億円未満の中小型株、超小型株に約2割投資していました。

 

  2024年3月 2017年9月
大型株(時価総額3,000億円以上) 78.57% 33.9%
中小型株(時価総額300億円以上、3,000億円未満) 18.64% 49.5%
超小型株(時価総額300億円未満) 0.80% 9.1%
現金等 1.99% 7.5%
合計 100% 100%

(参考:ひふみ 運用レポート・報告書)

 

2019年ごろまでは、東京オリンピックへの期待や、外国人観光客の増加、中国や東南アジアなどの途上国の経済も好調でした。

そのため、日本でも幅広い業種において、業績が好調だったため、中小型の銘柄のパフォーマンスも良好だったわけです。

 

ですが、2020年以降は、環境が変わってきています。

特に円安が1ドル150円台にまで進んでおり、海外での売上高が高い企業ほど、業績が好調な傾向にあります。

例えば、トヨタの2023年度の純利益が4兆円を超え、過去最高益を更新する見通しですが、これなども円安が進んだことの影響が大きいでしょう。

 

中小型株に力を入れると言うことは、主に国内で勝負する企業への投資をする、という傾向になりがちですから、現在の円安メリットを、大型株ほどには受けていないと言えます。

 

2、どんな銘柄に投資しているのか?運用スタイルは?

では、具体的に、ひふみプラスは、どんな銘柄に投資しているのでしょうか?

 

(1)ひふみプラスの組入上位10銘柄(2024年3月現在)

順位

銘柄

主な事業

組入比率

時価総額(億円)

1

トヨタ自動車

日本

自動車

4.90%

616,870

2

M&A総研HD

日本

事業承継・事業買収

2.35%

3,245

3

エヌヴィディア

米国

半導体

2.03%

3,405,000

4

三越伊勢丹HD

日本

百貨店

1.60%

9,929

5

第一生命HD

日本

生命保険

1.51%

34,620

6

DMG森精機

日本

機械

1.51%

5,339

7

マイクロソフト

米国

ソフトウェア

1.49%

4,770,000

8

味の素

日本

食品

1.46%

29,440

9

鹿島建設

日本

建設

1.44%

15,928

10

霞ヶ関キャピタル

日本

不動産業

1.44%

1,653

*2024年3月末現在

*時価総額のみ4月11日現在、なお、米企業は1ドル150円で計算

(参考:ひふみ 運用レポート・報告書)

 

このように、時価総額で見ると、マイクロソフトの約477兆円から、霞ヶ関キャピタルの約1,653億円まで、大型株だけでなく、中小型株への投資も積極的に行っています。

 

もともと、ひふみプラスは、中小型の銘柄への投資を中心にしてきた投資信託です。

さきほどご紹介した時価総額別の資産割合を見ても、2017年9月時点では、中小型、超小型株の比率が、約6割でしたからね。

 

それが、資産規模が約8,000億円にまで膨れてしまったため、大型株への運用を増やさざるを得なくなり、大型株の比率が高まったわけです。

 

(2)上位銘柄の推移

*銘柄の横の()の数字は、前年の順位、(-)は、31位以下

組入順位 2024年3月 2023年9月 2023年3月
1位 トヨタ自動車(-) 楽天(-) アドバンテスト(-)
2位 M&A総研HD(-) 東京エレクトロン(1) ソニーG(1)
3位 エヌヴィディア(-) 三菱UFJ FG(-) ディスコ
4位 三越伊勢丹HD(-) ソニーG(-) NTT(6)
5位 第一生命HD(11) NTT(2) 東京海上HD(3)
6位 DMG森精機(-) 三井住友FG(-) インターネットイニシアティブ(14)
7位 マイクロソフト(-) インターネットイニシアティブ(5) GMOペイメントゲートウェイ(11)
8位 味の素(8) トヨタ自動車(11) 味の素(20)
9位 鹿島建設(-) マイクロソフト(-) 三菱UFJ FG(4)
10位 霞ヶ関キャピタル(-) メルカリ(-) 伊藤忠商事(13)

(参考:ひふみ 運用レポート・報告書)

 

また、上位銘柄の推移を半年ごとに追いかけてみると、かなり変動が激しいですね。

2024年3月末現在、上位組入1位はトヨタ自動車ですが、23年9月は楽天、23年3月は半導体製造装置のアドバンテストになっています。

 

なお、( )内の数字は、その銘柄の前年の順位です。

30位以下を( – )にしていますが、特に2024年3月時点の銘柄は、前年と比べて( – )の数が多く、かなり大きく組入銘柄を入れ替えたような印象を受けます。

 

投資信託というと、「長期でじっくり」、みたいなイメージを持っている人は多いと思いますが、ひふみプラスは、かなり機動的に増減させているように見えます。

 

3、どんな人に向いているのか?

ここまで、ひふみプラスのパフォーマンスや運用方針、商品性などを見てきました。

ザックリまとめると、

  • 特に新型コロナ以降は、中小型株を約2割入れている「ひふみプラス」は、現在の大型株主導の相場で、少し苦戦している(日経平均やTOPIXのパフォーマンスに負けている)
  • 資産規模が増えているため、昔のような「実はすごいけど、評価が低い中小型株を応援」というイメージから、大型株を機動的に入れ替えるアクティブ型へと変わってきたイメージ

というところでしょうか。

 

では、ひふみプラスへの投資に向いている人は、どんなタイプの人なのでしょうか?

以下の2つの条件に、どれかに当てはまる人は、いいかもしれません。

  1. 今後、もしかしたら、株価の大暴落があるかも?と思っている人
  2. 投資を通じて、経済のことを知りたい人

順番に詳しく解説します。

 

(1)今後、もしかしたら、株価の大暴落があるかも?と思っている人

このサイト「アセットアンドライフ」では、主に投資信託や、投資先となる企業の情報についての記事を書いていますが、その中で、気になっているのがアメリカの社会の現状です。

 

テレビやニュースでもたびたび話題になったりしていますが、今のアメリカでは、「万引きをしても10万円以下ならOK」とか、「不法移民がどんどんメキシコ国境から入ってきて、ニューヨークやシカゴなどの大都市で治安がリアル北斗の拳になってる」みたいな状況になっています。

(参考記事)

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そんな中で、オフィスの空室率がとんでもないことになったり、店舗の撤退が始まっていたりと、特にREIT(不動産投資信託)や、中小銀行の株価の下落が起こっています。

その反面、グローバルに稼いでいるビッグテック(FacebookやAmazon、グーグルなど)の業績が好調なので、株価全体としては上がっている、というのが私の解釈です。

 

ただし、今年は大統領選挙がある年です。

1970年以降の株価と大統領選挙の関係を見ると、過去13回中、10回上昇、3回下落で勝率は約77%でした。

 

アメリカ大統領選挙と株式市場の関係

(参考:Yahoo finance US)

 

そのため、今年は株価も上がっていますし、今後もその傾向は続きそうな気はするのですが、アメリカ社会自体は、かなりヤバい状況になっているので、いつ何が起こってもおかしくない、とは思っています。

(あくまで、これは私個人の感想です。)

 

その点、ひふみプラスは、運用者がヤバイと思ったら、一部を現金化して様子を見るような運用をしています。

実際、2020年の新型コロナで大混乱になった時には、現金比率を高めていました。

日本で暴落したのは3月でしたが、ひふみプラスはすでに2月末時点で現金比率を3割にまで高めていたのです。

 

ひふみプラスと日経平均、現金比率

(参考:ひふみ 運用レポート・報告書)

 

ただし、この時は3月中に底値をつけて、一気に上がりましたので、現金比率を高めたのが裏目に出ました。

そのため、日経平均よりもパフォーマンスが下回ったわけですが、相場が数ヶ月レベルで低迷していたら、ひふみプラスの方がパフォーマンスは上だったと思います。

 

営業マンで投信を販売していた頃、お客さんに「危ないと思ったら、すぐに売るから連絡をちょうだいね」とよく言われていましたが、これを一部、実践しているのが、ひふみプラスと言えます。

 

日経平均やTOPIXのETF(上場している投資信託。株のようにいつでも購入できます)の方が、信託報酬や手数料も安いので、メリットも大きいですが、いつ売るかや、危ないというシグナルを探すのも、すべて自分の責任で行うことになります。

ましてや、「いつか株価が暴落するのでは?」みたいな不安をお持ちなのであれば、ひふみプラスは、その条件を満たしていると思います。

 

(2)投資を通じて、経済のことを知りたい人

ここまで、ひふみプラスと日経平均、TOPIXのパフォーマンスを比較してきましたが、2020年以降で見ると、決して優れているというわけではありません。

もし仮に、このような相場が続くのであれば、大型株が上がると指数が上がりやすい、日経平均やTOPIXに投資をした方が、パフォーマンスが良い可能性もあります。

 

ですが、特に投資初心者の方であれば、ひふみプラスは、投資を通じて、経済の仕組みや、株価の動きを知りたい、という人にとって、参考になると思います。

理由は2つあります。

  1. 独立系で始まった運用会社のため、常に結果が求められる中で資産運用をしている
  2. 現金化して様子を見るという投資方法もできるため、相場に対して、比較的中立的にものを見ている

です。詳しく解説しますね。

 

①常に結果を求められる中で資産運用をしている

これは、当たり前に聞こえるかもしれませんが、実はそうではありません。

日本で販売されている投資信託の多くは、証券会社や銀行などの販売サイドの力が強く、「人気の投資テーマ」の商品が作られることが大半です。

 

例えば、IT(情報通信)、AI(人工知能)、グリーンエネルギー、SDGsなどの投信は、けっこう作られたのではないかと思います。

ですが、このような一般の投資家が買いたいと思った投資テーマは、すでに株価が高くなっていることも多く、「投信の運用を始めた時が高値」みたいなことはけっこうあるのです。

 

また、そのような販売サイドからの意向を受けて作られた投信は、証券会社や銀行の子会社にある運用会社が運用していることも多いです。

つまり、大企業のサラリーマンが運用しているわけですね。

 

そのような人たちが、

  1. 株価が高値に近い時期に、
  2. 決められたテーマ(限られた銘柄群の中で投資せざるを得ない)で運用しなければならず
  3. 下がると思っても、その一部を現金化して様子を見ることもできない

といったガチガチのルールの中では、運用パフォーマンスを高めようにも限界があります。

 

そして、そのような投信が発行する運用レポートは、どうなるのかと言えば、「これからも期待できます」としか書けないわけです。そう書かないと、解約されてしまうからです。

このような状況では、運用報告書を参考にすることは難しいですよね。

 

②現金化して様子を見ることができるため、相場に対して、比較的中立的に見れる

一方で、ひふみプラスの運用会社であるレオスキャピタルは、どこの証券会社、銀行にも属しておらず、投資のパフォーマンスだけで拡大してきた会社です。

そのため、運用レポートなどでも、比較的思ったことを書けます。むしろ、そうしないと逆に投資家からの信頼を失ってしまいます。

 

また、過去に3割近くを現金化させて、相場を様子見してきたこともあることから、相場に対して、比較的に中立な目で見ることができます。

そういった立場の人たちの運用レポートであれば、「ちょっと今はやばいと思うので、現金化して様子を見てます」みたいなことも書けるわけです。

 

株式市場は常に上がっているわけでもありませんし、今後仮にアメリカ社会がおかしくなれば、株式市場にも影響が起きる可能性だってあります。

そんな時でも、比較的に冷静に相場を見て、どうすればいいのか、これからどうしようとしているのか、を運用レポートでも報告してくるのであれば、投資を通じての経済、金融についての知識や経験、そして保有している間の安心感も違ってくるのではないでしょうか。

 

4、ひふみプラスとひふみ投信の違い

ここまで、「ひふみプラス」について解説してきましたが、「ひふみ投信」という投資信託もあります。違いは、販売会社が違うだけです。運用内容は同じです。

例えば、すでに銀行や証券会社とお付き合いをしていて、特定口座を開いているのであれば、他の株や投信と損益を合算できるため、そちらを利用したい人もいるでしょう。

 

なお、2024年4月現在、販売会社は68社あります。主な金融機関は以下の通りです。

 

松井証券 マネックス証券 auカブコム証券 楽天証券
SBI証券 SMBC日興証券 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 大和証券
野村証券 京都銀行 福岡銀行 静岡銀行

 

証券大手3社や、ネット証券でも取り扱っています。銀行では、地銀での参加が多く、都銀は入っていませんね。

これらの金融機関で取引があるのであれば、そこで購入してもいいでしょう。

 

ただし、ネット銀行以外で取引があり、担当者がついている場合は注意が必要です。

担当者を通じての購入であれば、「もっと他の商品も買ってくれるかもしれない」という合図に見えるからです。

 

わたしが営業マンならそう思いますし、管理職がそのように解釈して、追加で勧誘してくる可能性はあるでしょう。

ネット経由で購入しても、担当者の方に連絡が行くはずなので、状況は変わりません。

 

なので、もし担当者との相性が悪かったり、あまり勧誘されたくないのであれば、直販型の「ひふみ投信」から投資をした方がいいでしょう。

詳細を知りたい方は、こちらからどうぞ。

 

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