この記事では、現在アメリカで拡散している、移民による住宅の不法占拠の実態について解説します。
1、TikTokで拡散している、不法占拠でNYの不動産をゲットできる方法とは?
アメリカには、「Squatting Laws(不法占拠法)」と呼ばれる法律があります。
たとえ、その不動産が自分のものでなくても、「一定期間」その不動産を占有しているという事実があり、それ以外にも様々な条件を満たした上で、裁判所に申し立てをして認められれば、その不動産を自分のものにできるのです。
これは、アメリカがもともと移民の国であり、多くの土地が誰のものでもなかったからでしょう。(実際には、ネイティブ・アメリカンが住んでいた場所でも、その存在や権利は無視されたのでしょう)
アメリカの面積は日本の26倍もありますから、誰かが広大な土地の権利を持っていたとしても、管理しきれずほったらかし、ということも多かったのだと思われます。
そんな人が持っているよりも、実際にそこに住んで、畑を耕したり、木材を加工したりしてくれた方が、国としては豊かになれるのでいいわけです。
そこで、このような「不法占拠法」という法律が作られたのでしょう。
この法律は、アメリカの各州にあり、法的に権利を主張するために必要な期間が異なります。
最長はニュージャージー州の30年で、最短はアリゾナ州の3年です。
(参考:worldpopulation review.com)
ですが、都市別にみると、さらに短い所もあります。
なんとニューヨーク市では、30日不法占拠できれば、権利を主張できるのです。
そして、そのような実態をニューヨーク在住の移民の若者が、TikTokで拡散しているのです。
彼の知り合いのアフリカ人は、その方法で、なんと7軒の家を不法占拠しているそうです。
NEW: TikToker is going viral by telling illegal immigrants how to "invade" homes in America thanks to progressive squatting laws
Remarkable.
"We can invade a house in the USA, what do you think about this new law?" a video from one TikTok user read.
The man said he has African… pic.twitter.com/b92DT9fYq7
— Collin Rugg (@CollinRugg) March 20, 2024
NYは、メキシコ国境からやってくる不法移民が多すぎて、パンク寸前の状況にあります。この2年間で、約11万人も来ているそうです。
これほどの移民をどうやって対応しているのかというと、高級ホテルや廃校になっている学校、体育館など、多くの公共施設も活用して、宿泊施設を提供しています。
ですが、それでもキャパが足りず、路上で生活している人も多いようです。
上に挙げた動画は、「そのようにして寒い思いをするぐらいなら、空き家を占拠して住んで仕舞えばいいじゃん」という内容も含まれていました。
2、持ち主が、不法占拠している人を追い出そうとすると、逮捕される
もし、自分の空き家の実家が、知らない人に不法占拠されたら、どうしますか?
おそらく、警察を呼んで追い出してもらおうとするのではないでしょうか。
ところが、アメリカでは、このように不法占拠した人を簡単に追い出すことができません。
まず、その不法占拠している人たちに対して、退去通知を送って、10日後にそれでも出ていかなければ、裁判所に立ち退きの申し立てをして、どっちが正式な持ち主なのかを裁判で争わないといけないのです。
そのため、裁判を含めると、立ち退いてもらうまでに1ヶ月以上も時間がかかります。
なので、NY市の賃貸不動産を扱うサイトでは、まめに自分の物件が、誰かに不法占拠されないように見回りをしておくべきだ、とアドバイスしているところが多いようです。
ですが、持ち主からしてみれば、そんな悠長なことは言ってられませんよね。
これまた最近のニュースですが、ニューヨーク市内の家を売却しようとしていた女性が、売却しようとしていた家を不法占拠している人がいることに気づき、鍵を交換しようとしたら警察に捕まりました。
NEW: New York City homeowner gets arrested after changing the locks on *her own home* after it got taken over by squatters.
Never do business in New York.
In NYC, anyone can simply claim "squatter's rights" after 30 days of living at a home which isn't even enough time for the… pic.twitter.com/xkcfYM9l7u
— Collin Rugg (@CollinRugg) March 19, 2024
NY市では、不法占拠による権利を主張できる期間が30日間と短いため、家を売りに出している間に不法占拠されてしまう可能性があります。
売主は、当然のことですが、「自分の所有物を勝手に使われている」という怒りと、「早く現金が欲しい」という焦りが生まれますので、早く追い出してしまいたいと思うでしょう。
しかし、正当な手続きを踏まないと、警察に捕まってしまうわけです。すごい世界ですよね。
3、NY市から、ビジネスを撤退する人が増えるのではないか?
このサイトでは、「アメリカの実態経済は、実際のところどうなの?投資してもいいの?」という視点から、各都市の現状を記事にしています。
例えば、NY市については、不法移民についてのこちらの記事と、
トランプ元大統領に対する巨額の罰金判決を受けて、トラック運転手がNY市への輸送をボイコットしているという、こちらの記事を書きました。
今回は第3弾というわけですが、いろいろ調べていくうちに、NYのヤバさがどんどん明らかになってきている感じがします。
NYには、あいかわらず不法移民が押し寄せてきていますから、今回のような不動産の不法占拠によるトラブルは、これからもっと増えるでしょう。
注意すべき投資商品・投資先は?
この問題が拡大することで、投資商品で影響を受けるのは、アメリカのREIT(不動産投資信託)でしょう。銀行や証券会社の投資信託の中でも、運用資産が大きい投信なので、今後の影響が心配されます。
また、最近だと、あおぞら銀行が、アメリカの商業用不動産で大きく損失を出したことで、株価が3割近く下がっています。
基本的には、アメリカの不動産に投資しているような企業については、その投資先の実態をきちんと調べておかないと、あとで痛い目を見る可能性があるので注意が必要です。
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